数日前に、歯科でのヒアルロン酸注入(その1、その2)に関してお話をさせていただきました。
では、美容治療の口の周りのヒアルロン酸注入は、歯科行為なのか医科行為なのかという問題です。
まだ、現時点では、はっきりとした区分けができていないのは事実で、その詳細な情報に関してもかなり少ないので、述べたいと思います。
本来であれば、国が区分けをしっかりと行うべきですが、多分、トラブルなどの問題が大きくならないと動かないと思いますので。
国(厚生労働省)では、歯科治療(場合によっては、歯科口腔外科)と医科治療の区分けは行なっています。
以下は、厚生労働省の参考文です。
厚生労働省(旧厚生省)の「歯科口腔外科に関する検討会」
平成8年に、厚生省(当時)において、歯科口腔外科に関する検討会」が開かれました。その中で「標榜診療科としての歯科口腔外科の診療領域について」という議題があり、歯科医師が単独で診療することができる領域として、以下の領域が意見として取りまとめられました。
「標榜診療科としての歯科口腔外科の診療領域の対象は、原則として口唇、頬粘膜、上下歯槽、硬口蓋、舌前3分の2、口腔底に、軟口蓋、顎骨(顎関節を含む)、唾液腺(耳下腺を除く)を加える部位とする」。
では、ほうれい線、口元(マリオネットライン)、頬などのヒアルロン酸注入が歯科治療に含まれるのかということです。
ヒアルロン酸の皮膚の注入は、医師が行うべき美容医療行為
これは、まだ、私の個人的な意見になるかもしれませんが、皮膚へのヒアルロン酸注入は、医師が行うべき医療行為だと思います。
皮膚は、構造的に、粘膜とは異なるので、医学的な知識を必要ということは間違いありません。
上記の厚生労働省の文内容を見る限りでも、口腔内、もしくは粘膜に対する治療以外の表記はしていません。
では、口唇とはどこまでの領域のことをいうのか?
これは、歴史的にみても非常に難しい区分けになります。
私も、形成外科を長年してきましたので、この区分けは、現時点でもまだ論議があるところです。
その代表例が、口唇裂の手術です。歴史的に見れば、口腔外科(歯科)が長いのですが、現在は、ほとんどが形成外科(医科)の領域に移行しています。
では、口唇とはどこからどこまでの範囲なのか。
正確に言えば、口唇とは粘膜移行部までの範囲で、その周りの皮膚は口唇の範囲には含まれないと思います。
ほうれい線、口元のマリオネットラインは口唇の領域には含まれないと思います。
まして、この部位のヒアルロン酸注入は、皮膚、皮下の中に注入ということになりますので、明らかに医科領域と思いますが。
唇のヒアルロン酸注入は?
唇の赤い部分は、粘膜になりますが、この部位に関しては、暫くの間、グレーゾーンになると思います。
私が言いたいのは、歯科で、すべてのヒアルロン酸注入がダメと言っているわけではありません。
例えば、歯茎が痩せて、歯茎にヒアルロン酸注入で改善できるなら、これは、歯科の領域で行うべきだと思います。
しかし、皮膚のヒアルロン酸注入は、基本的には医科行為になると思いますので、医師が行うべき治療領域と思います。
この内容に関しては、現時点では、私の個人的な意見に過ぎませんが、最終的には、私が所属している日本美容外科学会、もしくは日本形成外科学会でも論議される内容と思われます。
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歯科でヒアルロン酸注入(ヒアルロン酸注射)? その2
今回は、昨日お話をした歯科で頬のヒアルロン酸注入をした後の腫れの原因についての述べさせていただきたいと思います。
ただし、この内容に関しては、直接、患者様を診察をしたわけではありませんので、あくまでも経験的な予測です。
ヒアルロン酸注入後の腫れの原因について
今回は、注入直後に腫れが生じたわけではありませんので、塞栓症の可能性は殆どないと思います。
可能性があるのすれば、アレルギーもしくは感染?
注入したヒアルロン酸を聞くと、ある程度メジャーな会社で、完全に吸収されるタイプのようです。
吸収されないタイプのものではないため、アレルギーの可能性は低いと思います。(吸収されないタイプの注入剤は、長期的な経過の中では、アレルギー反応を起こすものがあるのは事実です)
しかし、ヒアルロン酸注入剤は、メジャーな会社のものであれば、アレルギー反応を起こす確率はほとんどないのは事実ですが、ゼロではないというのも事実です。
これは、ヒアルロン酸注入剤だけの問題だけではなく、一般的な風邪薬の内服でも起こりうる話です。
ですので、重要なのは、ヒアルロン酸注入をした後に、アレルギーかどうか早く判断すること、アレルギーとしたらどのような治療を行うかが重要になります。
ということは、注入が出来れば良いというわけではなく、かなりの医学的な経験を要するということです。
感染に関しては、腫れと赤みの程度から考えれば、可能性は高いと思います。
ただし、通常では、ヒアルロン酸注入では、起こす確率はかなり低いと思われます。
ただし、注入の仕方によっては起こす確率はありえます。
例えば、1ヶ所に大量注入。これは、ヒアルロン酸を1ヶ所に大量注入すると、ヒアルロン酸が吸収されるスピードがかなり遅くなり、長期間1ヶ所に残ります。そこに、何らかの原因で、細菌がつくと、感染を広げてしまう可能性はありえます。
ヒアルロン酸注入で重要なのは、注入する深さ、注入量、種類と多岐にわたります。これも、かなりの経験を要します。
腫れを起こした後に、ヒアルロン酸分解注射は?
腫れの原因がヒアルロン酸のアレルギーであれば、ヒアルロン酸の量を減らすためにヒアルロン酸分解注射をするのは一つの選択肢と思われます。
しかし、今回の患者様のようにヒアルロン酸分解注射をしても改善しないケースの原因としては次のようなものが考えられます。
1.ヒアルロン酸分解注射が注入した部位に当たっていない
これは、どういうことかというと、ヒアルロン酸分解注射は、注入したヒアルロン酸の深さに正確に当たらないと分解はされません。
漠然と打っても、効果は出ないということです。
自分がどの深さにヒアルロン酸を注入したか、その後、ヒアルロン酸分解注射を打つ場合、前回と同じ深さに打つことができるかは、これも、相当な経験を要するということです。
ヒアルロン酸分解注射で一番難しいのは、他のクリニックでヒアルロン酸注射をした時に打つ場合です。
というのは、ヒアルロン酸注入した深さが浅い場合は、経験的なことで、ある程度、注入した深さがわかりますので、同じ深さにヒアルロン酸分解注射を行うことは可能です。
しかし、注入する深さが深い場合は、同じ部位にヒアルロン酸分解注射をするのはかなり難しく、場合によっては、数回必要になる場合もあります。
2.腫れを起こした原因が他の可能性?
当然ですが、腫れの原因がアレルギーでなければ、ヒアルロン酸分解注射は全く意味がありません。
もし、感染だとすれば、逆効果になる可能性も。
感染し、膿が溜まっているかどうかは、ハリをさして、吸引すればわかります。
ただし、これも経験を要しますが。
ヒアルロン酸注入での注意事項
ヒアルロン酸注入をするときに、副作用を考えながら、治療を行うとドクターはほとんどいないと思います。
しかし、万が一、起きた場合でも、早めの対処、治療を行えば、ほとんど問題になることもありません。
シワや凹みの治療で、ヒアルロン酸注入は、現時点で、非常に、手軽に治療できるため、爆発的な勢いで広まっているは間違いありません。
ただ、手軽にできる分、トラブルも増えているのも事実です。
ヒアルロン酸注入は、ただ、注入すればシワや凹みが改善するというわけではありません。
簡単なように見えて、非常に難しい手技を要します。
10年以上、ヒアルロン酸注入を行った経験から、言えることですが。
ヒアルロン酸注入の詳細は、また、後日、報告したいと思います。
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7月下旬、皮膚科の先生から、こんな相談がありました。
歯科でヒアルロン酸注入(ヒアルロン酸注射)? その1
皮膚科の先生から相談を受けた内容です。患者様の詳細に関しては、プライバシーの問題があり伏せさせて頂きます。
昨年末に、東京の某歯科医院で頬(あるいはほうれい線)にヒアルロン酸注入を施術。
今年の4月になり、頬が急に腫れて、赤くなってきたと。
改善しないため、注入をした歯科医院を受診。
ヒアルロン酸分解注射
皮膚科の先生は、アレルギーを疑い、ステロイドの内服治療を開始。
しかし、ほとんど改善しないとのこと。
その治療法と原因につきお問い合わせがありました。
私の10年以上に渡るヒアルロン酸注入の経験からお答えさせていただきました。
ヒアルロン酸注入後の腫れの原因は?
- アレルギー
- 感染
- 塞栓症
アレルギーの副作用に関して
ヒアルロン酸の注入剤が出始めたのは、12から13年前のことでしょうか。
それまでは、コラーゲン注入が主流でした。
それ以降、世界各国で様々なヒアルロン酸の注入剤が発売されています。
アレルギーに関しては、各会社でデータはあるのですが、現実的な数字は報告がない限りは集まりません。アレルギーなのかどうかは、余程の経験を積んだドクターでないと判断はできませんので。
しかし、10年以上のヒアルロン酸注入の経験から、メジャーな会社の注入剤を使用していれば、ほとんど問題はないというのが本音です。
ただし、全くないというわけではありませんが。
感染
感染とは、注入した部位に細菌などがついて炎症を起こす状態です。
感染に関しては、ヒアルロン酸注入では10年以上の経験では、私はありません。
しかし、これも、注入部の消毒、注入する深さ、注入量によって、絶対ないというものではありません。
塞栓
塞栓症とは、注入したヒアルロン酸が動脈の中に入り、血流にのって、末梢で詰まってしまうことです。
これに関しては、動脈の解剖学的な医学知識があり、間違った注入法をしなければ、現実的にはほとんどありません。
では、今回のお問い合わせを受けた患者様の原因は、何なのか?
考えられる原因に関しては、明日以降に述べさせて頂きます。
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美容治療におけるダウンタムとは?
美容の様々の治療におけるダウンタイムとは、日常生活に戻るために必要な期間という意味です。
ただし、ダウンタイムと言っても、人により、その期間にかなり差があるので、一定の期間が決まっているわけではありません。
ダウンタイムは大きく分けて次の3つ
- 赤み(発赤)
- 青あざ(内出血)
- 腫れ
その他に、治療によっては、かさつき、注射の跡、かさぶた(痂皮)、傷跡などもあります。
治療後の赤みについて
赤みの出方は、治療方法により、出方、引くまでの期間はかなり差があります。
治療前に、よく確認して頂くことが重要です。
ただし、赤みに関しては、化粧(メイク)である程度隠すことは可能です。
まりもクリニックでは、メイクの仕方、コンシーラの色の選び方なども、希望であればご指導いたしますので、お気軽に聞いてください。
治療後の青あざについて
青あざは、治療後の内出血(皮下出血)で、特に、注射や手術後に出る場合があります。
青あざは、例えて言えば、肘の点滴や注射のあとに出る物、または、打撲をした後に数日して出るものという方がわかりやすいと思いますが。
また、青あざは、治療直後に出るものは少なく、数日たってから出るものも多く、その広がり方にも個人差はあります。
通常、青あざが出た場合は、1週間程度で薄くなり、その後、黄色ぽくなった後に、完全に消失します。
青あざは、程度によりますが、メイクで隠すのは非常に難しい場合が多いですので、事前に、どの程度出るのか確認しておく必要があります。
青あざもある程度、美容の経験を積むと、出やすい人か出にくい人は判断がつきますので。
治療後の腫れについて
腫れについては、治療方法により、かなり差があります。
具体的に、どの程度の腫れなのかを確認する必要はあります。
ただし、腫れ方には、かなり個人差があるのも事実です。
私の個人的な説明の仕方では、まずは、腫れが出るのか、出ないのか。もし、出た場合、何日程度で引くのか、経験的なことを含めて、具体的に説明するようにしております。
また、元の肌の色により、目立ち安さも変わってきます。色黒な方は、青あざは目立ちませんし、色白な方は目立つといった説明もするようにしています。
痛くない、青あざが出ない、腫れないどいう広告に惑わされないように、治療前にしっかりと確認していただくことが重要です。
医師から説明することは当然ですが、当然のことができていないクリニックもありますので、ご本人からも心配なことがあれば、具体的に聞いていただく必要があると思います。
もし、この説明をしっかりしていだだけないクリニックであれば、パスしていただいたほうが良いと思います。
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この10年間で、美容外科、美容皮膚科の情報の入手の仕方は激変しました。
以前は、テレビコマーシャル、雑誌の後の広告が中心でした。
しかし、この10年間は、インターネットの爆発できな普及もあり、情報は殆ど、インターネットを通じた広告を中心に変わりました。
また、ツイッター、フェイスブック、Google+などのSNSの普及もあり、情報の入手方法も日々変化しています。
この2~3年は、スマートフォンの大普及もあり、よりいっそインターネットを通じて、情報が入手しやすい環境に変化してきています。
さらに、口コミサイトなども増えることで、情報の入手方法が日々変化しています。
美容情報の氾濫で。
しかし、患者様から、情報が多すぎて、何が良いのか悪いのかわからないといことを聞きます。
また、びっくりするような副作用が書いてあり、怖くて出来なくなるということも聞きます。
新しいものが良いとは限らず、何を持って効果があるかないかも人によって基準は異なります。
美容情報の氾濫で、何が良くて、何が良くないのかは、ドクターにより変わりますが、今回のブログを通じて、私なりの考え方(あくまで経験を通じてのお話が中心になりますが)を述べて、クリニック選びの基準にしていただければと思います。
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